地域と密接な関係を目指し、
新キャンパス・学内で社会を学べる環境を構築

-インタビュアー

愛知学院大学の特色を教えてください。

押田

愛知学院大学は明治9年(1876年)、名古屋市門前町大光院内に曹洞宗専門支校として開設されました。130年を超える伝統を通じて受け継がれてきた「行学一体」「報恩感謝」を建学の精神とし、それらの禅的教養に基づき「自分の可能性に挑戦し、協働の場で主体的に活躍できる人」の育成に取り組んでいます。
現在、楠元、日進、末盛、名城公園、および高等学校と中学校のある光が丘の5キャンパスで12000人ほどの学生が学んでいます。

-インタビュアー

名城公園キャンパスが一番新しいのですね。

押田

商学部、経営学部、経済学部を移転し、開学から138年となる2014年4月から講義を開始しています。特にここでは社会に対して受けた恩を返す報恩感謝の理念で地域連携を強めたいと、キャンパス自体に塀やフェンスを設けずに、地域の方に自由に出入りしていただけるよう学食や図書館も開放しています。地域の方々や企業と密接な関係を築いて、学問と社会が密接に関わりあうキャンパスシティーを志向しています。

-インタビュアー

地域の方が聴講できるプログラムなどもあるのですか。

押田

本学では社会人を対象の生涯学習プログラムとして、公開講座や開放講座・モーニングセミナー等を各キャンパスで行っています。私どもの特任教授も務めていただいている池上彰さんにも7月にご講演いただき大変盛況でした。
また本学の使命として社会貢献をしていく方針を強め、地域連携センターにおいて、学生が主体となり学習しながら地域との問題を解決していく活動を進めています。

学校法人 愛知学院 理事
財政部局長
押田清道氏

1941年愛知県生まれ。駒澤大学仏教学部卒。愛知学院総務部、大学事務局、財政部を歴任し、99年評議員・理事に就任。現在は財政部局長と管財課長を兼務するなど同校の施設・エネルギー計画において重責を担っている。名古屋市安用寺住職。

  • 名城公園キャンパスの様子(図書館)

    名城公園キャンパスの様子(図書館)

ストレスなく最大限の省エネ
ガスソリューションが威力発揮

-インタビュアー

省エネルギーなど、環境への配慮や防災面に大変注力されているそうですね。

押田

名城公園キャンパスは2011年の東日本大震災直後に国有地から用地を取得しました。折しも関東では計画停電が行われていた時期で、節電要請が出されるようなことがあっても教育活動を中断することなく、できるだけ我慢せずにストレスを最大限抑えつつ、最大限の省エネ効果を得られるキャンパスを目指しエネルギーのベストミックスに取り組む方針を進めました。
本学、学識者、エネルギー事業者などが一体となり名城公園キャンパス低炭素化推進プロジェクトを進め、国土交通省の「平成24年度第1回住宅・建築物省CO2先導事業」に採択され、補助金もいただきました。環境配慮、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合評価するCASBEE基準取得を目指してトライし、結果的に名古屋市建築物環境配慮制度「CASBEE名古屋」で最高のSランクを取得できました。

-インタビュアー

震災は防災だけでなく省エネも改めて考えるきっかけにもなったのですね。エネルギーのベストミックスに取り組む中、ガスによるソリューションはどのように活用していますか。

押田

電気、ガス、自然エネルギーや未利用エネルギーをフルに活用していく中で、ガスの利用では空調を中心に、最新の「停電対応型ガスコージェネレーションシステム(CGS)」「廃熱投入型ガス吸収冷温水機(ジェネリンク)」「停電対応型GHP」を導入しました。セントラル空調であるジェネリンクはアガルスタワーの地下に熱源を設置し、キャッスルホールの空調を賄い、個別空調のGHPはアガルスタワーの4~6階、くすのきテラスなどに採用しています。
災害時を含め節電要請があった際に、CGSは電力や空調に使うエネルギーの基となる温水を供給・補完して、系統電力からの電気使用を減らしたり、廃熱を有効活用します。さらにエネルギー制御手法としてビル用エネルギー管理システム(BEMS)を用いることで、ガスと電気の最適運用や電力ピークカットを行っています。ガスのメリットで一番大きいのは、節電効果ではないでしょうか。特にGHPは運転時間が標準的から短めの系統に採用し、ランニングメリットを追求しています。

-インタビュアー

節電効果はいかがですか。

押田

1200kWの契約電力のうち、今夏は最大使用時でも830kWで済んでおり、予想よりはるかに節電効果を実感しています。

-インタビュアー

防災面ではどのような効果を狙っていますか。

押田

本学で採用した停電対応型GHPは停電時に自力で発電できることに加え、都市ガス遮断時でもLPGに切り替えて、数日間は稼働できるので、緊急時における防災性を向上させます。避難場所にもなる大空間で学食もある「くすのきテラス」に導入しています。

-インタビュアー

地域の防災拠点としても頼もしいですね。コスト面はいかがですか。

押田

私学経営上、導入に当たって当然コスト面もかなり検証しました。消費電力での省エネ効果が大きく、ランニングコストが従来のキャンパスに比べて非常に低く抑えられ、初期投資を回収できる見込みを予測できたので導入しました。長期にわたる保守契約により突発的な修繕費用等の心配が無用というのもポイントになりました。

  • 名城公園キャンパスに設置されているGHP

  • 名城公園キャンパスに設置されているガスコージェネレーションシステム

  • 名城公園キャンパスの様子(PCルーム)

ピークカットと低コストを両立
さらなる効果、追求する

-インタビュアー

ピークカットと低コストを両立できそうですか。

押田

一番エネルギーを使う時間帯のピークカットがガスによって可能になれば、我々の社会貢献にもつながります。ガスが担ってくれる役割はとても大きいですね。
特に今回のプロジェクトで画期的だったのは、ガス会社と電力会社が協力して1つのプロジェクトに取り組んだこと。エネルギー事業者同士が手を組み、最適なシステムをご提案いただいた全国でも少ないケースで、補助金をいただく際にも大きく評価されたと聞いています。今後もエネルギー事業者をパートナーとしてさらに効果的な運用を追求していきます。

-インタビュアー

期待しています。本日はありがとうございました。

アクセス

愛知学院大学名城公園キャンパス

〒462-8739 愛知県名古屋市北区名城3丁目1-1
電話 (052)911-1011(代) URL http://www.agu.ac.jp/
地下鉄名城線 名城公園駅より徒歩1分

[取材日]2014年10月28日

日本経済新聞 名古屋支社版 平成26年12月11日朝刊掲載 「Ecology Case Study」広告特集より転載

ガスコージェネレーション システムについて

今回登場したガスコージェネレーションシステムについてはこちらをご覧ください。

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