西三河北部の医療を支える
地域の人たちと共に歩む

-インタビュアー

まずは豊田厚生病院についてご紹介ください。

片田

豊田厚生病院は1947年、加茂病院として内科・小児科・外科の3科、職員数24人、病床数25床の仮診療所として開院したのが始まりです。2008年には現在の豊田市浄水町に新築移転し、開院しました。これまでに救命救急センターや地域中核災害医療センター、DMAT(災害派遣医療チーム)指定医療機関などの指定を受け、名実ともに西三河北部医療圏の基幹病院として、また豊田市の市民病院的病院としての役割も果たしています。現在は診療科39科を基礎とし、救急医療とがん診療を大きな2本の柱として運営。病床数は606床、職員数は1385人を数えるまでになりました。

-インタビュアー

地域の安心・安全を支えていらっしゃるわけですね。

片田

当院では「私たちはたえず 新しい医療のあり方を追求し 優しさと温かさを大切にして 地域の人たちと共に歩みます」という理念を掲げています。これに従い医療、保健、福祉の向上に日夜努め、地域の人たちに心と体の安心をお届けすべく努力しています。また地域医療連携を積極的に推進し、地域医療機関との連携に力を入れています。

-インタビュアー

地域に開かれた病院として、様々なイベントも開催されています。理念が具体的な形で表現されていて本当に感心しました。

片田

つい先日には「病院祭」を催したばかりです。たいへん好評で今回で3回目を数えました。当日は約3400人の来場者を迎え、眼病や糖尿病に関する市民公開講座のほか、屋台村やマジックショー、バンド演奏などを楽しんでいただきました。今も職員たちが12月から始める屋上庭園のイルミネーションの準備を進めている真っ最中です。

豊田厚生病院 病院長
片田直幸氏

1974年に名古屋大学医学部を卒業後、名古屋港湾福利厚生協会臨港病院に勤務。名古屋大学医学部附属病院内科を経て、加茂病院勤務。同病院にて内科消化器科医長、内科消化器科部長、内科部長、副院長、院長兼加茂看護専門学校長を歴任。2008年1月より豊田厚生病院院長兼加茂看護専門学校長に就任し、現在に至る。

  • 豊田厚生病院の様子(エントランスホール)

    豊田厚生病院の様子(エントランスホール)

  • 豊田厚生病院の様子(病院祭)

    豊田厚生病院の様子(病院祭)

ホスピタルエンジニアが活躍
ガスコージェネレーションシステム(CGS)が
威力発揮

-インタビュアー

省エネルギー対策にも力を入れて取り組んでいるそうですね。

片田

当院は「第一種エネルギー管理指定工場等」に該当する規模の病院であり、エネルギーの消費原単位を年間平均で1%以上低減する努力目標を掲げています。そのためエネルギーの使用実態の把握や定期報告書の作成・提出、将来的なエネルギーの合理的な利用に関する中長期計画の策定・実行にも取り組んでいます。
実は病院の設備はかなり複雑で、しかも24時間365日フル稼働させる必要があるだけに管理が難しいのが実情です。そこで、日本医療福祉設備協会が認定する「ホスピタルエンジニア」という資格を持った職員が管理に当たり、省エネに取り組んでいます。

-インタビュアー

職員の省エネ意識の向上も欠かせないですね。

片田

おっしゃる通りです。職員には病院全体で省エネに取り組むように働きかけています。エレベーターを夜間に停止させたり、照明を間引いたりするなどして、病院が一生懸命に取り組む姿勢を見せることで、職員の意識を変えるように仕向けています。また夏場と冬場には週2回、各部屋の設定温度を抜き打ちでチェック。その結果と病院全体のエネルギー使用量を一覧表にして病院全体の会議で共有しています。

-インタビュアー

結構な熱の入れようですね。省エネに取り組む中でガスによるソリューションをどのように活用していますか。

片田

イニシャルコストやランニングコストだけにとらわれず、省エネ性能や環境負荷が少ないことなども重視し、エネルギー設備を選定しています。ガスの利用ということでは08年の移転時に「ガスコージェネレーションシステム(CGS)」「ガス吸収冷温水機(ナチュラルチラー)」「廃熱投入型ガス吸収冷温水機(ジェネリンク)」「蒸気ボイラー」を導入しました。
このシステムの中で鍵を握るのが、CGSです。ガスエンジンを回して発電すると同時に、その過程で発生する廃熱を利用できるので、エネルギー効率が非常に高い点を評価しています。CGSとジェネリンクとを連携させることで廃熱を有効活用でき、ガス消費量を大幅に抑えることができるのです。夏場・冬場の空調コストの削減では大いに助かっていますよ。

-インタビュアー

エネルギー効率は具体的にはどのくらいでしょうか。

片田

当院の1年間にわたった実測データをみると、平均78~79%という高い値を記録しています。最高では83%を記録したこともあるくらいです。やはりホスピタルエンジニアの貢献が大きいと思います。どうしたらCGSをうまく使いこなせるのか、様々な角度から検討を重ねた賜物といえます。

  • 豊田厚生病院に設置されているガスコージェネレーションシステム

  • 豊田厚生病院に設置されているジェネリンク

電力のピークカットを実現
BCP対策の一環としても

-インタビュアー

病院の事業の継続計画(BCP)対策の一環としてもCGSを高く評価しているそうですね。

片田

当院は災害拠点病院ですから、災害時には大勢の被災者が送られてきます。そのため万一停電しても医療活動が継続できるように電源の多重化が不可欠です。CGSを設置することでエネルギー供給の二重化が図れ、格段に信頼性を向上できました。またガス設備には災害に強い中圧A配管を採用しています。

-インタビュアー

節電効果はいかがですか。

片田

当院の最大需要電力は2500kW程度ですが、そのうちの半分ほどをCGSで賄っています。これにより電力のピークカットが可能になり安心して医療活動に専念できますし、社会貢献にもつながります。万一の際にも電力需要の半分は確保できるので、大方の病院運営は支障が無いと考えています。

-インタビュアー

災害時にも安心ですね。肝心のコスト面ではいかがでしょうか。

片田

CGSの導入には、NEDOが経済産業省から委託を受けた「エネルギー使用合理化事業者支援事業」制度を活用し、イニシャルコストの半分に補助金を充てています。また、コージェネレーション用特約料金が利用できるのでランニングコストが安くなり、トータルコストでみても、コージェネレーションの優位性は際立っているように思います。今後もビル用エネルギー管理システム(BEMS)を活用することでガスと電気の使用量を可視化し、ホスピタルエンジニアが中心となってCGSの最適運営を目指していきます。

-インタビュアー

期待しています。本日はありがとうございました。

  • 豊田厚生病院の様子(ヘリポート)

アクセス

豊田厚生病院

〒470-0396 愛知県豊田市浄水町伊保原500-1
電話 (0565)43-5000 URL http://toyota.jaaikosei.or.jp/
名鉄豊田線 浄水駅より徒歩5分

[取材日]2014年11月7日

日本経済新聞 名古屋支社版 平成26年12月24日朝刊掲載 「Ecology Case Study」広告特集より転載

停電時際給電システム(ブラックアウトスタート)について

今回登場した停電時際給電システム(ブラックアウトスタート)についてはこちらをご覧ください。

お問い合せ・資料請求

お見積りや提案のご依頼、ご相談はお気軽にお問い合わせください

記事一覧