病院、商業施設などの代表者を訪問。省エネ・エコロジーなど環境問題への取組みについてリポートします。
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患者さん中心の医療を提供
地域医療の新モデル構築へ

-インタビュアー

まずは藤田学園と藤田保健衛生大学病院についてご紹介ください。

湯澤

学校法人藤田学園は、看護師・臨床検査技師を養成する目的で1964年に設立されました。以後数年の内に、「独創一理」を建学の理念に掲げ、専門学校、短大、大学を設置し、その後、大学の敷地内を含む3つの教育病院も開設しました。この他に国際水準の研究を行う研究所や、学校法人として日本で初めての地域包括ケア中核センター、中部国際空港内診療所などがあります。2020年には岡崎市に愛知県三河地方として初の大学病院も開設する予定です。
藤田保健衛生大学病院は1973年にこうした医療系総合学園「藤田学園」の教育病院の一つとして設立されました。現在、病床数は1435床、医師をはじめ医療従事者数は約2600人を数えます。大学病院でありながら地域の基幹病院としても機能し、高度急性期医療から終末期医療まで幅広い医療を提供しています。開設以来、創設者である故・藤田啓介博士が掲げた理念「我ら、弱き人々への無限の同情心をもて、片時も自己に驕ることなく医を行わん」に即した「患者さん中心の医療」がモットーです。

-インタビュアー

藤田保健衛生大学病院は、終末期医療に力を入れていることでも知られていますよね。

湯澤

本学の緩和ケアの歴史は古く、87年に七栗サナトリウム(現・七栗記念病院)に緩和ケア病棟を設置。2010年には大学病院内に緩和病棟をオープンしました。さらに13年には「藤田保健衛生大学地域包括ケア中核センター」を開設。退院後も看護やリハビリを受けられるように地域と連携したケアシステムの構築を目指すなど、地域医療の新しいモデルづくりにも取り組んできました。
その一環として、2016年の春には、学園が主体となり地域の医療機関と連携して医療安全に関するネットワークづくりを計画しています。近隣の医療機関に対して、安心・安全な医療サービスを提供する体制づくりをサポートする制度を普及させていきたいと考えています。

-インタビュアー

地域の安心・安全をしっかりと支えていらっしゃるのですね。

湯澤

当院は基幹災害拠点病院でもあります。地域災害拠点病院の機能を果たす一方で、県下全域の災害拠点病院の機能を強化するための訓練・研修も担っています。実は、2015年5月に新病棟A棟をオープンしたのは、そのための体制強化の一環でもあるのです。

湯澤由紀夫氏

藤田保健衛生大学病院
病院長
湯澤由紀夫氏

1981年に名古屋大学医学部を卒業後、名古屋第一赤十字病院に勤務。名古屋大学医学部第三内科助手、名古屋大学医学部附属病院腎臓内科長、名古屋大学大学院病態内科学講座腎臓内科学准教授などを経て、2010年に藤田保健衛生大学医学部腎内科学教授就任。14年より学校法人藤田学園理事および藤田保健衛生大学病院病院長に就任し、現在に至る。

  • 藤田保健衛生大学病院の様子(A棟)

    藤田保健衛生大学病院の様子(A棟)

  • 藤田保健衛生大学病院の様子(ヘリポート)

    藤田保健衛生大学病院の様子(ヘリポート)

震災を機に省エネ対策に注力
エネルギーをベストミックス

-インタビュアー

A棟ではエネルギー利用に関していろいろ工夫しているそうですね。

湯澤

医療の現場では設備を24時間365日稼働させることが不可欠です。それだけに、大量のエネルギーを使っています。しかし病院といえども聖域ではなく、省エネへの対応が社会的に求められています。そのため東日本大震災以降は、省エネ対策を強く意識して病院運営に当たってきました。
目下の大きな課題は、病院内における滅菌、給湯で利用する蒸気設備のエネルギーロスをいかに低減するかです。そこで、蒸気設備を分散したり、エネルギー転換を図ったりすることで、ロスの削減に腐心しています。17年には新たにB棟の竣工を予定しており、A棟で培った経験やノウハウを生かして空調設備の更新、熱源設備の効率的運用などにも取り組んでいく計画です。

-インタビュアー

たしかに省エネは時代の要請といえます。震災以降は、私たちの生活もかなり省エネを意識するようになりました。ところで、エネルギー設備の選定で特に気をつけている点はありますか。

湯澤

大きく2つあります。1つ目は、エネルギー情勢の変化に柔軟に対応してガスや電気を使い分けるベストミックスシステムを構築することです。経費節減もありますが、やはり危機管理への対応を重視しています。そのためエネルギー供給の二重化は不可欠と考えています。
2つ目は、大災害の発生などあらゆる想定外に備えた事業継続計画(BCP)の観点からエネルギーシステムを構築することです。当院は基幹災害拠点病院なので絶対に電力供給が止まることがあってはならず、そのために幾重にもバックアップ体制を取っています。
具体的には、電気は特別高圧回線(77KV)を本線・予備線の2ルートで受電しており、供給経路の不具合発生時には自動で切り替え受電が可能な体制を敷いています。また、敷地内には72時間運転可能な非常用発電機(2000KVA)を3基設置。停電時にも病院全体の約70%の電力供給が可能になっています。都市ガスは大地震発生時にも供給停止になりにくい中圧A導管を導入。さらにA棟エネルギーセンターの熱源設備では万一、電気、ガスが途絶されたときに備え、重油および非常用発電機を保有しています。

ガスコージェネ・ガス空調の導入
患者さんに快適、満足を

-インタビュアー

エネルギー供給体制が何重にもバックアップされていて災害時でも安心ですね。ガスによるソリューションを具体的にどう活用していますか。

湯澤

「ガスコージェネレーションシステム(CGS)」を導入して、ガスで電気を発電することで電力デマンドを削減するとともに、発電時の廃熱利用による省エネを図りたいと考えました。耐震性の高い中圧A導管によるガス供給とCGSの導入により、長期停電時でも安定した電力供給が可能となります。CGSの導入は基幹災害拠点病院として、より万全な体制につながるものであり、一日も早く稼働することを期待しています。
空調には「ガス吸収冷温水機(ナチュラルチラー)」を導入しました。施設の電力需要が大きい病院にとって、受電設備容量を抑制できることはランニングコスト削減の有効な手段です。また、給湯には「ガス温水ボイラ」を導入しました。灯油に比べて二酸化炭素(CO2)の排出量が少なく環境負荷を低減できること、管理が比較的容易なことが導入の決め手となりました。

-インタビュアー

A棟はオープンから半年が過ぎました。この間、エネルギー効率は具体的にどのくらい向上しましたか。

湯澤

設計時のエネルギー消費予測に対して、電力、冷温水、給湯の熱量比較で約35%の低減に成功しています。当初はエントランスの吹き抜けの空調コストが気がかりでしたが、思いのほか低く抑えることができて安心しました。今後も運用方法のブラッシュアップに努めることで、省エネの実現はもとより、患者さんに快適な療養環境を提供できるよう努力していきます。CGSについては現在工事中なので、一日も早く稼働し大きな効果が上がることを期待しています。

-インタビュアー

医療現場の最前線で、ガスによるソリューションが貢献していることがよく分かりました。本日はありがとうございました。

ガス吸収冷温水機(ナチュラルチラー)

  • 藤田保健衛生大学病院に設置されているナチュラルチラー

    藤田保健衛生大学病院に設置されているナチュラルチラー

  • 藤田保健衛生大学病院に設置されているCGS

    藤田保健衛生大学病院に設置されているCGS

藤田保健衛生大学病院

学校法人藤田学園 藤田保健衛生大学病院

〒470-1192 愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪1番地98
電話 (0562)93-2111(代表)
URL http://www.fujita-hu.ac.jp/HOSPITAL1/

日本経済新聞 名古屋支社版 平成28年2月12日朝刊掲載 「Eco REPORT」広告特集より再編集・転載

ナチュラルチラーについて

今回登場したナチュラルチラーについてはこちらをご覧ください。

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