病院、商業施設などの代表者を訪問。省エネ・エコロジーなど環境問題への取組みについてリポートします。
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6番目の掖済会病院として開設
チーム医療で救命救急に注力

-インタビュアー

まずは名古屋掖済会病院の歴史を教えてください。

加藤

当院の設立母体である一般社団法人日本海員掖済会(本部・東京)は、もともとわが国の船員の福利厚生を目的に1880年に設立された団体です。日本の郵便制度を創設した前島密をはじめ明治政府の要人、海運会社首脳などが発起人として名を連ねています。
掖済とは「腋(わき)に手を添えて助ける」という意味。現在は船員だけではなく、広く一般の方にも医療・介護事業を展開しています。国内の主要港8カ所にある掖済会病院に加え、横浜・大阪に介護老人保健施設、当院がある名古屋には看護専門学校を擁しています。
当院は6番目の掖済会病院として1948年に開設され、当初は30床でスタートしました。その後、64年に救急病院の告示を受け、96年には愛知県から災害拠点病院に指定されました。現在は32の診療部門、662床の総合病院として、地域に根差した医療を推進しています。

-インタビュアー

病院の特徴は何でしょうか。

加藤

救命救急に力を入れている点です。緊急医療の充実を基本方針の一つに掲げており、78年に救命救急センターを開設以来、急増する救急患者を24時間、365日受け入れてきました。
さらに2006年には高度治療を目指し、今の救命救急センターを新築。診療科の枠を超えたチーム医療の実現により「救急医療の最後のとりで」となるべく体制を整えています。
救命救急とともに緩和医療にも注力しています。現代医療は昔に比べれば飛躍的に進歩していますが、残念ながら完治が困難な病気があるのも事実です。
当院の緩和ケア病棟ではがん診療の各専門家が協力しながらがん患者さんが抱える様々な痛みや悩み、不快な症状の緩和に努めています。また在宅の患者さんの短期入院も受け入れています。

加藤林也氏

名古屋掖済会病院
院長
加藤林也氏

1949年名古屋市生まれ。74年名古屋大学医学部卒業後、名古屋掖済会病院へ。その後、名古屋大学医学部第一内科、米カリフォルニア州立大ロサンゼルス校医学部留学、国立名古屋病院などを経て、2002年名古屋掖済会病院副院長に就任。09年から同院長。

  • 名古屋掖済会病院の救命救急センター

    名古屋掖済会病院の救命救急センター

省エネ委員会で行動計画策定
照明の時間など節電を推進

-インタビュアー

名古屋市南西部の中核医療を担っている名古屋掖済会病院ですが、省エネに積極的に取り組まれていると聞いています。

加藤

07年に国から「第一種エネルギー管理指定工場等」に指定された当院は、監督官庁にエネルギー使用量などの定期報告と省エネ義務が課せられています。そこで院内に「省エネルギーマネージメント委員会」を設置して行動計画を策定。エレベーターの時間管制運転や照明のタイムスケジュール運転、窓際カーテンの活用の実行などこまめな節電を進めています。
エネルギー使用の大半を占める空調の負荷低減には注力しています。病院は適度な温度・湿度に加えてクリーンな室内環境が不可欠で、それを維持するために多くのエネルギーが必要です。
当院は空調機器のモーター類をインバーター化することで、必要量に応じた供給システムに変更しました。その結果、従来のシステムに比べて3割ほどの省エネ効果がありました。
また窓ガラス面の断熱フィルムの貼り付けも実施。冬場は建物内の熱を逃さず、夏場は外部からの熱を入れない施策により空調の電力負荷を抑えています。

-インタビュアー

エネルギー設備を選定する際のポイントは何ですか。

加藤

トップランナー基準を満たす性能の機種は必須条件ですが、現有設備との相性のよさや使用環境、求められる費用対効果などを優先し、機器単体のスペックにこだわりすぎないように勘案しました。システム構築に当たっては電気とガスとのベストミックスに配慮しました。
エネルギー設備の導入にはある程度の初期投資が必要です。ただ5年、10年という長いスパンで見て「ガスコージェネレーションシステム(CGS)」や「廃熱投入型ガス吸収冷温水機(ジェネリンク)」といったガスシステムによる省エネ効果が大きいと判断し、導入。13年に稼働を始めました。

-インタビュアー

ガスシステムの導入のきっかけは何ですか。

加藤

11年に起きた東日本大震災です。災害拠点病院である当院は、地震などの大規模災害の発生時も被災による傷病者を24時間体制で受け入れる必要があります。エネルギー源を電気だけに頼っていると電力網が寸断されてしまった場合、機能不全に陥る危険性が高まります。
CGSはガスエンジンで発電するものです。停電しても重要施設に電力を安定かつ継続的に供給でき、電源セキュリティーの向上に寄与します。
また発電で発生する廃熱を回収して活用するため、高いエネルギー効率も特徴です。熱エネルギーは冷暖房や給湯などに利用できるので、二酸化炭素(CO2)排出削減につながります。
CGSやジェネリンクによりピーク電力の削減も期待できます。例えば夏場は午後2時に電力負荷のピークを迎えますが、ガスシステムを活用すれば使用電力を平準化できます。

-インタビュアー

具体的にどのような成果が出ていますか。

加藤

最も顕著なのは経済的なメリットです。水道費を除いた光熱費では前年比で1割減、金額で毎月300万円ほどのコスト減につながっています。CGSの稼働で光熱費削減効果がある上に省エネ目標もクリアでき、非常に満足しています。

  • 名古屋掖済会病院に設置されているガスコージェネレーションシステム

    名古屋掖済会病院に設置されているガスコージェネレーションシステム

  • 名古屋掖済会病院に設置されているジェネリンク

    名古屋掖済会病院に設置されているジェネリンク

機能的な医療の提供目指し
新病院棟建設と南館を改修

-インタビュアー

省エネによるコスト削減、さらにはエネルギーの安定確保もできるとは、まさに一石二鳥ですね。そのほかに取り組まれていることはありますか。

加藤

事業継続計画(BCP)の観点から井戸水の活用を進めています。私は東日本大震災の発生2カ月後に宮城県南三陸町に入ったのですが、ガスと電気は開通していたものの水道はまだ来ていませんでした。その経験から約200メートルの井戸を掘削し、全館が止水しても井戸水を供給できる体制を整備しました。

-インタビュアー

最後に今後の展開をお聞かせください。

加藤

機能的でより質の高い医療サービスを提供するため、病院南側の救命救急センターに隣接する土地に病院棟を新たに建設中です。併せて南館の改修も進めており、将来的には新病院棟を入院棟、南館を外来棟に機能を集約していこうと考えています。
当院は1984年に竣工した南館の建設当時から省エネを意識した建物造りを実践してきました。今後、改修によりさらなる省エネ効果を高めていきます。
一方、ソフト面は現状がベストだと考えており、引き続き地道な省エネ活動を続けていこうと思います。

-インタビュアー

今回のお話で名古屋掖済会病院が省エネとBCPの実現に向けて2重、3重の対策を講じていることが分かりました。本日はありがとうございました。

ガスコージェネレーションシステム

  • 新病院棟完成後の全体図(イメージ)

    新病院棟完成後の全体図(イメージ)

一般社団法人日本海員掖済会 名古屋掖済会病院

一般社団法人日本海員掖済会 名古屋掖済会病院

〒454-8502 愛知県名古屋市中川区松年町4丁目66
電話 (052)652-7711
URL http://www.nagoya-ekisaikaihosp.jp/

日本経済新聞 名古屋支社版 平成28年2月26日朝刊掲載 「Eco REPORT」広告特集より再編集・転載

ガスコージェネレーションシステムについて

今回登場したガスコージェネレーションシステムについてはこちらをご覧ください。

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